直音・拗音・特殊拍(長音・促音・撥音)について

日本語の現代仮名遣い

日本語は、昭和21年に「現代かなづかい」を内閣が告示するまでは、同じ発音でも様々な表記がなされてきました。

同じ[e] という発音でも「え」や「ゑ」、「へ」になったり、[i]の発音も「い」「ゐ」「ひ」になったりと、表記にばらつきがありました。

 

内閣の告示は仮名の表記のきまりを示したものです。現在使われているのは、昭和21年のものを改訂した、昭和61年内閣告示第1号です。

 

この告示では、語を表す際に、現代語の音韻に従って次の仮名を用いると記載しています。

現代仮名遣いのきまり
  • 直音
  • 拗音
  • 撥音
  • 促音
  • 長音

 

このうち、撥音・促音・長音は特殊拍と呼ばれるものです。

「拍」と「音節」の違いについて

↑拍と音節についてはこちらをご覧ください。

 

直音

直音は、母音(要するに「あ」「い」「う」「え」「お」)子音+母音の音節構造をもつものです。1音節が、かな一つで示されます。

 

子音+母音の組み合わせとは「か」「き」「く」「け」「こ」のように、「k」という子音と、「a」「i」「u」「e」「o」の母音が合わさってできたもののことです。

 

要するに、ひらがな(あいうえお、かきくけこ、さしすせそ、たちつてと等)と、濁音(がぎぐげご、ざじずぜぞ等)・半濁音(ぱぴぷぺぽ)が直音です。

 

拗音

拗音(ようおん)は、子音+半母音+母音の音節構造をもつものです。1音節が、かな+小書きの「や」「ゆ」「よ」で示されます。

 

半母音とは[w](日本語の「わ」で使われる音)や[j](日本語の「やゆよ」で使われる音)のことです。

[w]は母音の[u]、[j]は母音の[i]の音と似ています。ただ、母音のように1拍分の長さはありません。

 

日本語の「きゃ」「きゅ」「きょ」、「ぎゃ」「ぎゅ」「ぎょ」、「しゃ」「しゅ」「しょ」などが拗音になります。

 

特殊拍

撥音

撥音(はつおん)は、「ん」で表される音のことです。1拍の長さがあり、直音や拗音と同じ長さで発音されます。

この撥音「ん」は母音を伴わず、子音のみで構成される音節です。

 

ちなみに、英語では、この「ん」の音を単独で一拍の長さで発音するということがありません。

なので、英語母語話者の日本語学習者は、「こんにちは」が「こにちは」になったりすることがあります。

 

促音

促音(そくおん)は、小さい「つ」で表される音です。これも1拍の長さがあります。

これは詰まる音といわれますが、基本は何も発音せず、一拍分休止しています。

 

例えば「きって」というとき、実際は、「き」「●(発音なし・休止)」「て」と言っています。

 

日本語学習者は、この促音で一拍休止するのがなかなか難しく、「きって」が「きて」に聞こえてしまうことなどもあります。

 

長音

長音は、「-」(伸ばす音)にあたるもので、母音を連続して発音し、通常の倍の長さで発音したときの、後ろの母音のことを指します。

長音は以下のような表記のルールがあります(参考:昭和61年内閣告示第1号

  • ア列の長音は「あ」を加える(例:おかさん、おばさん)
  • イ列の長音は「い」を添える。(例:にさん、おじさん)
  • ウ列の長音は「う」を添える。(例:くき、ふふ)
  • エ列の長音は「え」を添える。(例:ねさん、え
  • オ列の長音は「」を添える。(例:おとさん、とだい)

基本はその母音を書けばいいのですが、オ列だけ「う」を加えるので、注意が必要です。

 

長音もしっかり一拍の長さで発音しないと、「おばあさん」が「おばさん」と聞こえて、意味が変わってしまうことなどもあるので要注意です。

 

まとめ

直音、拗音、特殊拍(撥音・促音・長音)について説明しました。

表記については上記のとおりですが、発音ということでいうと、全般的には、学習者にとって、特殊拍はなかなか習得が難しいことが多いようです。

 

もちろん、学習者の母語に起因する難しさもあります。

例えば、中国語母語話者は「た」と「だ」のような清濁の区別が難しいと言われています。

また、韓国語母語話者が「ザ」と「ジャ」、「ズ」と「ジュ」、「ゼ」と「ジェ」、「ゾ」と「ジョ」の区別が難しいといわれています。