Larsen-Freeman(2014)の第二言語習得(SLA)の「習得」という言葉に疑問を投げかける論文を読みました。

Larsen-Freemanについては随分前に紹介しましたが(詳しくはこちら)、今回はLarsen-Freemanが有名な学術誌Language Teachingに掲載されていた以下の論文を読みました。

昨日の記事と同じで、第二言語習得(SLA)の根本概念に疑問を投げかける論文でした。

  • Diane Larsen-Freeman Saying what we mean: Making a case for ‘language acquisition’ to become ‘language development’ . Language Teaching, Available on CJO 2014 doi:10.1017/ S0261444814000019

この論文では彼女が提唱したcomplexity theoryの知見をもとに、「第二言語習得(SLA)」ではなく、「第二言語発達(Second language development(SLD)」という用語の方が適切なのではないかといっていました。

「acquisition(習得)」というと、言語が「モノ」でそれを自分のものにするという意味合いがありますが、言語能力は上達もすれば後退もするし、言語自体も固定された「モノ」ではなくて継続的に変化し続けるものだとLarsen-Freemanは言っています。

また「習得」というといつかは「習得し終わる時点」があるように聞こえますし、学習者とネイティブを比べるという視点が付いて回るとも言っています。Larsen-Freemanは、「発達」という言葉を使うことで、上記のような言語の性質や、言語内の変種等を捉えやすくなるのではといっていました(他にも「発達」という言葉の利点を多数挙げていました。)

Complexity theoryについては以下の本などで詳細に説明されているようですね↓

  • Larsen-Freeman, Diane, and Lynne Cameron. Complex systems and applied linguistics. Oxford University Press, 2008.