カナダのヨーク大学のBialystokの「バイリンガリズムと脳、行動」に関する講演を視聴しました。

ヨーク大学のBialystokの「バイリンガリズムと脳、行動」という講演を視聴しました。Bialystokはバイリンガリズム研究で著名な学者で、よくバイリンガル関係の論文で引用されています。

  • Ellen Bialystok: York Circle Lecture – Bilingualism, Brain, and Behaviour: What’s the Connection? 2013年5月4日


この講演でBialystokは、日々の行動が我々の脳を変化させるといっていました。例えば、日常的に経路を探さなければならないタクシー運転手は脳の空間処理機能が発達し、バイオリン奏者は指の動きを制御する大脳皮質が発達しているそうです。

言語は日常的に大量に使用しているので、言語が脳に及ぼす影響は非常に大きいといっていました。
特に日常的に二言語を使うバイリンガルの場合は、executive control systemという脳の制御機能がかなり発達しているそうです。このexecutive control systemは、①情報の取捨選択、②マルチタスク、③ワーキングメモリーなどをつかさどる機能とのことで、もっとも遅く発達し、最も早く喪失する機能だそうです。

また、彼女の研究によると、バイリンガルは、モノリンガルと比較して、アルツハイマーの発症が4,5年遅れるとの報告もでているようです。これもバイリンガルの発達したexecutive control systemが記憶障害の低下のを補てんしているか、記憶障害を防ぐ壁のような役割を果たしているのではないかといっていました。
Bialystokの以下の本はとても有名です↓

  • Bialystok, E. (2001). Bilingualism in development: Language, literacy, and cognition. Cambridge University Press.

上記の本とは別の本ですが、日本語でも訳書が出ているようです。

  • ビアリストク,エレン (2000) 外国語はなぜなかなか身につかないか―第二言語学習の謎を解く. 新曜社(重野純訳)