言語クラス内でのフィードバックの種類について

参考にした本

言語のクラスで学生の発話に対してするフィードバックの種類について調べてみました。

参考にしたのは、下記の論文のp. 46-48です。

  • Lyster, Roy, and Leila Ranta. “Corrective feedback and learner uptake: Negotiation of form in communicative classrooms.” Studies in second language acquisition 19.1 (1997): 37-66.

 

なお、フィードバックについては以下のような本もあるようです。(どちらも読んでいませんが)

  • Sheen, Younghee. “Corrective Feedback, Individual Differences and Second Language.” Educational Linguistics (2011).

 

 

  • 大関 浩美(編)フィードバック研究への招待 ―第二言語習得とフィードバック.  くろしお出版 (2015)

 

訂正フィードバックの種類

Lyster and Ranta(1997)は、言語クラスの観察に基づき、フィードバックを以下の6つに分けました。

  1. 明示的訂正(explicit correction)
  2. リキャスト(recasts)
  3. 明確化要求(clarification requests)
  4. メタ言語フィードバック(metalinguistic feedback)
  5. 誘導(elicitation)
  6. 繰り返し(repetition)

以下、1つずつ見ていきます。

 

明示的訂正(explicit correction)

これは、教師が学習者の発話が間違えていると指摘し、正しいものを示すことです。以下のような例があります。

学生:私は大学日本語を勉強します。
先生:actionが行われた場所のときは「に」じゃなくて「で」を使います。だから「大学で」ですね。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:昨日だから過去形です。「行きました」ですね。

 

ただ、この明示的訂正は、やりすぎると学習者が自主的に話そうという意欲をそいでしまうおそれもあるといわれています。

リキャスト(recasts)

これは、学習者の間違えた文を、正しい文にして言い直すことです。

学生:私は大学日本語を勉強します。
先生:ああ、大学で日本語を勉強しますね。
学生:はい、そうです。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:昨日、大学に行きましたね。

上記のように、言い直すのがリキャストです。ただ、リキャストの問題点として学習者が自分の間違いに気づかないことが多いということも指摘されています。

 

明確化要求(clarification requests)

これは、聞き返すことです。聞き返すことで、学習者が自分で訂正する機会を与えることができます。

学生:私は大学に日本語を勉強します。
先生:え?何と言いましたか?
学生:あ、大学で日本語を勉強します。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:え?もう1回言ってください?
学生:昨日、大学に行きました。

 

メタ言語的フィードバック(metalinguistic feedback)

これは文法などの説明をすることです。ただ、明示的訂正とは違って、正しいフォームを与えることはしません。

学生:私は大学日本語を勉強します。
先生:actionが行われた場所のときに使う助詞は「で」です。
学生:あ、大学で日本語を勉強します。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:昨日は過去ですよね。だから動詞も過去形を使います。
学生:昨日、大学に行きました。

誘導(elicitation)

これは、学生がもう一度言い直して、正しく使えるような質問をすることです。

学生:私は大学に日本語を勉強します。
先生:あれ?私は大学…
学生:あ、大学で日本語を勉強します。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:すみません。昨日、大学に…?
学生:昨日、大学に行きました。

文法の説明などはしないのですが、学習者が自分で正しいフォームを使えるように促すことです。

繰り返し(repetition)

学習者の発話を、ちょっと語尾をあげたりして繰り返して、学習者に間違いを気づかせることです。

学生:私は大学に日本語を勉強します。
先生:私は大学に日本語を勉強します?
学生:あ、大学で日本語を勉強します。

学生:昨日、大学に行きます。
先生:昨日、大学に行きます?
学生:昨日、大学に行きました。

まとめ

訂正フィードバックの種類についてLyster and Ranta(1997)を参考にまとめてみました。

教師がフィードバックした直後の学習者の発話を「uptake(理解/取り上げ)」といったりします。

その学習者の反応(uptake)を見て、もしフィードバックが有効でなかったとわかると(学習者が自分の間違いに気づいていない場合など)、別のフィードバックを使って再度フィードバックするということもよくあるようです。