海外で日本語を学ぶ学習者について:海外日本語学習者数と学習者の多い国・地域、学習目的

海外の日本語学習者

海外で日本語を学ぶ学習者は、どのくらいいるのでしょうか。

海外で日本語を学ぶJFL学習者の数については、国際交流基金が3年に1度、「日本語教育機関調査」をしています。

2021年2月現在で最新のものは2018年度調査です。これに基づいて、ご紹介します。

 

なお、この調査はあくまで教育機関を対象にしたアンケート調査なので、以下のような問題もあります。

  • プライベートレッスンや独学の学習者は含まれない。
  • アンケートに答えなかった教育機関は含まれない

 

また、アンケート調査なので、各機関がどこまで正確に答えているかという点にも注意が必要です。

実は、私も以前、同僚と一緒にこのアンケート回答に協力したことがありますが、自分の機関に一体何人学習者がいるのか正確に把握しておらず、自分たちが把握している範囲の人数で答えざるを得ませんでした。

ちなみに、海外で日本語を学ぶ学習者のことを、日本で日本語を学ぶ日本語学習者(JSL:Japanese as a second language)と区別して、JFL(Japanese as a foreign language)学習者と言ったりもします。

 

日本語教育実施国・地域数

2018年現在、142か国・地域で日本語教育が実施されています。

日本語教育機関数は、18,661機関、教師数は77,323人で、いずれも過去最多でした。

 

海外の日本語学習者数・内訳

学習者数

学習者数は2018年現在で、385万1,774人です。

実は、日本語学習者数は2012年度までは右肩上がりで、調査の度に増え続け、398万5,669人に達していました。その後、2015年に減少に転じて、365万5,024人になりました。

今回、再度、増加に転じた形です。

 

国・地域別の学習者数

2018年の学習者数ランキングは以下のようになっています。

順位国・地域学習者数(人)
1中国1,004,625
2インドネシア709,479
3韓国531,511
4オーストラリア405,175
5タイ184,962
6ベトナム174,521
7台湾170,159
8米国166,905
9フィリピン51,530
10マレーシア39,247

アジアの国・地域の学習者が多いですね。

1位から4位までは2015年の調査と変わらない結果となっています。

中国・韓国・インドネシア・オーストラリアでは中等教育で外国語科目として日本語が選択できることが多いので、学習者数も多くなりますね。

 

なお、上位10の国・地域で学習者数が343万8,114人となっており、全体の約90%を占めています。

 

前回の2015年調査との違いとしては、ベトナム・ミャンマー等の東南アジアの国で急激な伸びがあったようです。今回、ベトナムは6位にランクインしていますが、ベトナムの学習者数は前回の64,863人と比べて約169%も増加しています。

ミャンマーは2015年の11,301人(19位)から2018年は35,600人(12位)になり、学習者数は215%増でした。

 

学習目的・理由

学習目的で多いのは以下のとおりです。なお、このアンケートは複数回答形式で行われています。

順位学習目的%
1マンガ・アニメ・J‐POP・ファッション等への興味66.0
2日本語そのものへの興味61.4
3歴史・文学・芸術等への関心52.4
4日本への留学46.7
5日本への観光旅行41.1

1位がマンガ・アニメ・J-POP・ファッション等というポップカルチャーになっていますね。

(ちなみに、この「マンガ・アニメ」は2009年の調査から学習目的の選択肢に追加されたものです。)

 

なお、この「日本語学習の目的」というのは、学習者自身でなく、教育機関のアンケート回答者が答えています。

なので、どこまで信ぴょう性があるかも注意が必要だと思います。

 

まとめ

海外の日本語学習者について、2018年の国際交流基金の調査結果をもとに紹介しました。

調査結果は無料でこちらのサイトから見られるようになっているので、興味のある方はご覧ください。

 

なお、国内の日本語学習者数について興味のある方は、以下の記事もご覧ください。

国内で日本語を学ぶ学習者について:国内の日本語学習者数と属性、出身地域