国内で日本語を学ぶ学習者について:国内の日本語学習者数と属性、出身地域

国内の日本語学習者

以前、海外の日本語学習者について紹介しましたが、今回は国内の学習者について紹介します。

なお、国内で日本語を学ぶ学習者のことを、海外で日本語を学ぶ学習者(JFL:Japanese as a foreign language))と区別して、JSL(Japanese as a second language)学習者と言ったりもします。

国内の学習者については、文化庁が1967年から毎年「日本語教育実態調査」を実施しています。

2021年3月現在で最新のものは、2019年11月1日現在の調査結果です。これに基づいて紹介します。

 

なお、この調査はあくまで教育機関を対象にしたアンケート調査なので、以下のような問題もあります。

  • 文化庁国語課が把握していない機関、プライベートレッスンや独学の学習者は含まれない。
  • アンケートに答えなかった教育機関は含まれない。

 

なお、2019年度の日本語教育実態調査は、文化庁国語課が把握している日本語教育、日本語教師の養成・研修を実施している機関・施設等8,035件を対象に行われました。

そのうち,回答のあったのは5,606件で、回収率は69.8%です。

つまり、そもそも文化庁国語課が把握していない機関や独学の人もいると考えられるうえ、把握している機関も30%ぐらいは回答していないことになります。

 

なので、実際の日本語学習者数は、以下に紹介する数字を大幅に上回る可能性が高いです。

なお、国籍と学習言語は一致しないので参考までですが、2019年末の段階で在留外国人の数は293万3,137人となっています。

 

国内の日本語学習者数・内訳

学習者数

学習者数は2019年11月現在で、27万7,857人です。

日本語学習者数は2012年度以降は一貫して増加しています

なお、2012年の段階では13万9,613人でした。7年で二倍以上に増えたことになります。

(なお、日本語学習者数だけでなく、日本語教育実施機関・施設や日本語教師等の数も増加しています。)

 

学習者の属性

国内で日本語を学ぶ学習者の属性は以下のとおりです。

属性学習者数(人)%
留学生167,26660.2%
研修生
技能実習生
17,3016.2%
ビジネス
関係者及び
その家族
13,1954.7%
日本人の
配偶者等
9,0553.3%

それ以外の属性としては、「日系人及びその家族(1.9%)」、「中国帰国者及びその家族(0.9%)」、「短期滞在(観光を含む)(0.6%)」、「難民及びその家族(0.2%)」などがあります。ちなみに不明が18.4%にのぼっています。

留学生が167,266人(60.2%)で一番多いですね。

 

なお、滞日年数は、1年未満が一番多く83,443人(30%)でした。2番目に多かったのは1~3年で74,922人(27.0%)でした。留学生が多いので、滞日年数が短くなっていると考えられます。

 

また、学んでいる場所としては、日本語学校などの法務省告示機関が113,626人(40.9%)と最も多い結果となりました。2番目に多かったのが、大学等機関で66,112人(23.8%)でした。

 

学習者の出身地域

2019年の学習者数ランキングは以下のようになっています。

順位国・地域学習者数(人)
1中国91,54732.9%
2ベトナム62,11722.4%
3ネパール14,2465.1%
4韓国11,5934.2%
5フィリピン10,1253.6%
6台湾8,7343.1%
7ブラジル8,1592.9%
8インドネシア8,0832.9%
9アメリカ5,6282.0%
10タイ4,5181.6%

全体としては、アジアの国・地域の学習者が全体の84.6%を占めています。

中国が最多の91,547人(32.9%)を占めています。次がベトナムとネパールですね。

 

まとめ

国内の日本語学習者について、2019年度の文化庁の日本語教育実態調査をもとに紹介しました。

調査結果は無料でこちらのサイトから見られるようになっているので、興味のある方はご覧ください。

また、海外の日本語学習者について興味のある方は、以下の記事もご覧ください。

海外で日本語を学ぶ学習者について:海外日本語学習者数と学習者の多い国・地域、学習目的