当用漢字と常用漢字の違いについて

当用漢字・常用漢字

当用漢字は、1946年の当用漢字表に含まれている漢字1850字のことです。

当用漢字は1981年の常用漢字の告示に伴い、廃止されています

現在の常用漢字は、2010年に公示された改定常用漢字表に含まれる漢字2136字のことです。

 

当用漢字・常用漢字について時系列に並べると以下のようになります。

名称記載漢字数主な特徴
1946年当用漢字表1850字
  • 一般に使われている漢字を制限する目的
  • 國を「国」にするなど複雑な正字体を簡略化
1973年当用漢字改定音訓表
  • 音訓表に357の音訓を追加
  • これまでの制限的な色彩が緩和される
1981年常用漢字表1945字
  • 当用漢字から95字追加
2010年改定常用漢字表2136字
  • 情報機器普及による影響を考慮
  • 196字追加、5字削除

 

1946年 当用漢字表

当用漢字表は1946年に内閣告示されたものです。

第二次世界大戦までは漢字の使用について制限がなかったため、漢字の数が多く、また字体も複数あり、統一されていませんでした。

教育・社会生活上で多くの不便があるということで、社会で使用する漢字を制限する目的で作られました。

 

1946年11月16日の内閣訓令7号では以下のように述べられています。

わが國において用いられる漢字は、その数がはなはだ多く、その用いかたも複雑であるために、教育上また社会生活上、多くの不便があつた。これを制限することは、國民の生活能率をあげ、文化水準を高める上に、資するところが少くない

 

当用漢字表の前書きにも、以下が記載されています。

  • 法令・公用文書・新聞・雑誌およぴ一般社会で、使用する漢字の範囲を示したもの
  • 今日の國民生活の上で、漢字の制限があまり無理がなく行われることをめやす

 

この当用漢字表によって、以下が決められました。

  • 一般に使用する漢字として1850字が指定
  • 「國(国)」や「體(体)」などの複雑な漢字が簡素化

 

1946年の時点では使用される漢字のみが列挙されていましたが、その後以下も整備されました。

  • 1948年 当用漢字音訓表(当用漢字の読み方を記載したもの)
  • 1948年 当用漢字別表(義務教育で読み書きが必要な漢字を記載したもの)
  • 1949年 当用漢字字体表(当用漢字の書き方を記載したもの)

 

1973年 当用漢字改定音訓表

1946年から27年後の1973年には、当用漢字改定音訓表が内閣告示され、以下が決められました。

  • 357の漢字の読み方(音訓)が追加

 

また、1946年の段階では、当用漢字の目的は、使用される漢字の制限という色合いが多かったのですが、それが大幅に緩和されました。

「当用漢字改定音訓表」(答申)には以下のように記載されています(赤字は追加)。

改定に当たっては,昭和23年内閣告示の当用漢字音訓表の持つ制限的色彩を改め,当用漢字改定音訓表をもって,漢字の音訓を使用する上での目安とすることを根本方針とした。すなわち先の音訓表は,表示した音訓以外は使用しないという制限的な精神によって定められたものであるが,それに対して,今回の改定音訓表は,一般の社会生活における,良い文章表現のための目安として設定された。従って,これは,運用に当たって個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものである。

 

「良い文章表現のための目安として設定」とあり、制限的な色合いが薄くなっています

 

この背景として、漢字を制限してしまうことに批判があったことがあげられます。

例えば、「埠頭」を書く場合も、「埠」は当用漢字でないため「ふ頭」と書くことになりますが、ひらがなで書くことで読みづらくなってしまうこともありました。

 

1981年 常用漢字表

1981年に常用漢字表が内閣告示され、以下が決められました。

  • 常用漢字として1945字を指定(当用漢字から95字追加)
  • 音訓・字体にも若干変更有

 

また、当用漢字改定音訓表と同様、制限的な色合いはなく、あくまで目安とされています。

 

常用漢字表は前書きで以下のような文言が含まれています。

  • 法令,公⽤⽂書,新聞,雑誌,放送など,⼀般の社会⽣活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安を⽰すもの
  • 科学,技術,芸術その他の各種専⾨分野や個々⼈の表記にまで及ぼそうとするものではない

 

2010年 改定常用漢字表

2010年には改定常用漢字表が内閣告示され、主に以下の変更がありました。

  • 常用漢字として2,136字を指定(196字追加、あまり使われなくなった5字を削除)
  • 音訓も若干変更有

 

この改定常用漢字表が告示された背景には、パソコン等の情報機器の普及があります。

手書きをする機会が減り、パソコン等では簡単に文字変換もできることから、都道府県で使われる文字などが追加されました。

1981年の常用漢字表と同様、これも漢字使⽤の⽬安を⽰すもので、個々⼈の表記にまで及ぼそうとするものではありません。

 

まとめ

当用漢字・常用漢字について簡単に説明しました。

 

興味のある方は以下のような本もあるようです。

  • 円満字二郎(2007) 昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿. 吉川弘文館

 

  • 円満字二郎(2010) 常用漢字の事件簿. 日本放送出版協会