日本語のデータ・文献のローマ字表記についての備忘録(訓令式・ヘボン式)

英語で論文を書いていると、日本語の文献・データをローマ字表記をしなければならないことが多々あります。
表記の仕方としてメジャーなのは訓令式とヘボン式かと思いますが、私の読む論文ではヘボン式の方がよく使われている印象です。

ちなみに訓令式とヘボン式は、「し」が訓令式では「si」、ヘボン式では「shi」、「つ」が訓令式では「tu」、ヘボン式では「tsu」、「じゅ」が訓令式では「zyu」、ヘボン式では「ju」になるなどの違いがあります。
東京大学教養学部英語部会/教養教育開発機構の「日本語のローマ字表記の推奨形式」で表記については詳しく説明しているので、私はこれに従うことが多いです。

上記の「日本語のローマ字表記の推奨形式」でも紹介されていましたが、Japan Style sheetという本では日本語について英語で記載する際の書き方等について詳しく説明しています↓

  • Society of Writers, Editors and Translators (1998) Japan style sheet: the SWET guide for writers, editors and translators, rev. edn. Tokyo: Stone Bridge Press

 

論文によっては、「基本的にはヘボン式に従うが、例外も設ける」というようなこともあるようで、その場合は、注記か何かでその旨説明しているようです。

例えばこの前紹介した以下の本のMaynard (2008)の論文(詳しくはこちら)では、以下のような注記がありました。

  • Jones, Kimberly, and Tsuyoshi Ono, eds. Style shifting in Japanese. Vol. 180. John Benjamins Publishing, 2008.

“Japanese transliteration is given in phonetic orthography referred to as the Hepburn style, with the following additional conventions. In presenting double consonants, before cha, chi, cho and chu, t is added, thus instead of icchi ‘agreement’, itchi is used. Syllabic n is written n unless it immediately precedes a vowel, in which case it is written n’. The glottal stop, written as small tsu in Japanese, is spelled out as tt- For long vowels, unless conventionalized otherwise, double vowels are used. Morphological divisions are made for the purpose of convenience only.” (p. 101)

↑結構詳しく説明しています。
同じ本のIkura (2008)の論文でも以下のように注記していました。
In the transcription, consonants are based on the Hepburn system, while a long vowel is indicated by doubling the vowel. […]
(p. 72)