SLA(第二言語習得)の歴史的変遷⑤:1980年代の発展(言語転移と中間言語研究)

SLAとは

SLAとはSecond Language Acquisition(第二言語習得)の略です。1960年頃から活発に研究されるようになった分野です。

このSLAの歴史的変遷について、以下の4つの時代に分けて説明します。

(記事自体は計8記事で記載します。各番号をクリックすると、該当する記事にアクセスできます)

  1. 1960年代・1970年代~:黎明期(
  2. 1980年代~:SLA研究の発展(
  3. 1990年代~:社会的アプローチ・認知的アプローチ(
  4. 2000年代~:多様化の時代(

今回は1980年代の発展期についてです。

この時代はSLA研究が発展しますが、主な研究としては以下のようなものがあります。

今回の記事では「言語転移(language transfer)・中間言語研究」について紹介します。

 

言語転移とは

言語転移とは、簡単にいうと母語(やその他の学習者の既知の言語)の影響が言語学習にも表れることです。

 

  • S. Gass and L. Selinker (eds.): Language Transfer in Language Learning. Newbury House 1983

 

母語等がプラスの影響を与えることは「正の転移(positive transfer)」といいます。

例えば、韓国語と日本語は似たような助詞があるため、日本語話者は韓国語を学ぶときに比較的に簡単に助詞を学ぶことができます。

 

逆にマイナスの影響を与えることを「負の転移(negative transfer)」といいます。

例えば、英語の「a」と「the」の区別は日本語にはないので、日本語話者が英語を学ぶときは苦労すると言われています。

 

これまでの言語習得では、言語転移が学習を左右する最大の要因とされていました。

 

ただ、1970年代から誤用分析などが進むにつれ、言語転移では説明できない誤用が見られることがわかってきて、言語転移による影響は限定的なのではないかと言われるようになります。

 

中間言語

その中で、「言語転移」や「誤用分析」のみでなく、学習者がどう言語を習得するのか、正用も含めた学習者の言語の特性は何なのか、「学習者が話す言語そのもの」を調査する研究がすすめられます。

 

Selinkerは、学習者の話す目標言語でも母語でもない言語のことを「中間言語(interlanguage)」と呼びました。

  • Selinker, Larry, and William E. Rutherford. Rediscovering interlanguage. Routledge, 2013.

 

詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

1980年頃に研究されていたテーマのうち、言語転移・中間言語の研究について紹介しました。

次の記事からは1990年からの流れについて2回に分けて書ければと思います。

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