「~かと思うと」「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」の違いについて

この記事では、「~かと思うと」「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」の違いについて簡単に紹介します。

まず、共通点を説明した後、細かい違いについて簡単に説明します。

 

「~かと思うと」「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」の共通点

これらの表現は「Aが起こった直後にBが起こる」という意味で使われます。

また、これらの表現は、基本、以下のように、すべて現実を描写するときに使われます。

  • 息子は家に帰ったかと思うと、外に出ていった
  • 息子は家に帰ったとたん、外に出ていった。
  • 息子は家に帰るや否や、外に出て行った
  • 息子は家に帰るが早いか、外に出て行った。

 

また、現実を描写するときに使われることから、過去形と使われることが多いです。

また、後件が意志・命令・否定の時、自分自身の行動をいうときは使いづらいときが多いです。

  • ?家に帰ったかと思うと、連絡したいと思います/連絡しなさい。
  • ?家に帰ったとたん、連絡したいと思います/連絡しなさい。
  • ?家に帰るや否や、連絡したいと思います/連絡しなさい。
  • ?家に帰るが早いか、連絡したいと思います/連絡しなさい。

上記のように、「連絡したいと思う」のような意志を表す文や、「連絡しなさい」のような命令文は少し違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。

この場合は、「家に帰ったらすぐに/帰ってすぐに、連絡したいと思います」など、別の表現のほうが使いやすいです。

なお、「家に帰ったかと思うと、外に出ていきませんでした」という否定文もあまり使わないです。

 

また、自分自身の行動を言うときに使うと、自分の行動を客観的に話している感じに聞こえます。

小説ならこういう表現もあるかもしれませんが、普段の会話では自分自身の行動をいうときに以下の表現は使いづらいと思います。

  • ?私は家に帰ったかと思うと、外に出て行った。
  • ?私は家に帰ったとたん、外に出て行った。
  • ?私は家に帰るや否や、外に出て行った。
  • ?私は家に帰るが早いか、外に出て行った。

 

「~かと思うと」「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」の違い

この4つは似ているのですが、違いは以下のようにまとめられると思います (一部参考:市川 2018, p. 203)。

  • 「~かと思うと」:話し言葉的/書き言葉的。意外だという気持ちが入ることが多い。
  • 「~とたん(に)」:話し言葉的。突然・予想外の気持ちが入る。
  • 「~や否や」:書き言葉的。硬い言葉。「待ち構え」の意味合いが出るときもある。
  • 「~が早いか」:書き言葉的。硬い言葉。スピード感がある。

以下で少し説明します。

① 話し言葉的・書き言葉的

まず、話し言葉的・書き言葉的という点でこの4つは異なります。

「~かと思うと」は話し言葉・書き言葉の両方で使われると思います。

「~とたん」というのは話し言葉的な表現といえるでしょう(市川 2018, p. 203)。

 

「~や否や」「~が早いが」は書きことば的で、非常に硬い言い方になります(市川 2018, p. 203)。

 

なので、「~かと思うと」「~とたん」と「~や否や」「~が早いか」は使われる場面が違うとまずいえると思います。

 

② 「~かと思うと」vs 「~とたん」

話し言葉でも使われる「~かと思うと」と「~とたん」の違いも紹介します。

「~かと思うと」と「~とたん」は予想外・意外な気持ちが入ることは似ています。

なので、この2つは同じように使えるケースも多いです。

 

  • 空が暗くなった(〇かと思うと/〇とたん)、雨が降り出した。
  • 彼女は家に帰った(〇かと思うと/〇とたん) 、泣き出した。

 

ただ、「とたん」は、「Aが起こったのとほぼ同時に、突然Bが起こる」という意味で使われることが多いです。

「~かと思うと」は、この「ほぼ同時に突然」という要素は必ずしも必要でないため、「Aが起こったすぐ後にB」という意味ではあるのですが、以下のようにAとBの間にある程度の時間差があるときも使えます

  • やっと週末が来た(〇かと思うと/✕とたん)、もう月曜日の朝だ
  • 父はタバコをやめた(〇かと思うと/✕とたん) 、またこっそり買って吸い始めました。

 

上記のように、「週末から月曜日の朝まで」の時間や、「父がたばこをやめてからこっそり買うまで」の時間は、時間差があると考えられるので、「とたん」は使いづらいですね。

 

③「~や否や」vs「~が早いか」

「~や否や」と「~が早いか」は硬い書き言葉という意味で似ています。

ニュアンスとしては「Aや否やB」は「Aを待ち構えて、あるいは待ち構えるようにしてBがすぐ続く」という意味で「待ち構え」の気持ちが入るそうです(市川 2018, p. 202)。

「Aが早いかB」は「Aが行われたらすごいスピードでB」が起こるというスピード感があるといわれています(市川 2018, p. 202)。

 

以下を比較してみてください。

  • 10時に開店するや否や、たくさんのお客さんが押し寄せてきた。
  • 10時に開店するが早いか、たくさんのお客さんが押し寄せてきた。

「~や否や」の場合は、「10時に開店する」という事態を(お客さんが)待ち構えている、というニュアンスが出ると言われています。

「~が早いか」の場合は、開店した直後に、すごいスピードで押し寄せてきた、というニュアンスがでるそうです。

 

ただ、ニュアンスは文脈で左右されるので、単文では判断しづらいかもしれません。

 

ご興味のある方は

「~かと思うと」「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」について簡単にまとめました。

 

「~とたん(に)」「~や否や」「~が早いか」については、以下の本に詳しく違いが書かれていますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。

何かのお役に立てれば幸いです。