万葉仮名とは
万葉仮名は、日本語の音を表記するために使われていた文字のことです。
いってしまえば、当て字のことです。
今も「アメリカ」を「亜米利加」、「アジア」を「亜細亜」、「フランス」を「仏蘭西」と書いたりしますね。
漢字は一字一字が一定の意味を持つものです。「音楽」というのは「音を楽しむ」という意味がありますね。
ただ、当て字は漢字の意味とは関係なく、漢字の音や訓をあてはめたものです。
万葉仮名がいつ生まれたかは定かではないそうですが、奈良時代の「万葉集」「日本書紀」「古事記」などでよく見られます。
奈良時代ごろは、平仮名・片仮名はまだ存在していませんでした。なので、日本語の音を表記する際は、主に漢字の音読みを利用していました。
万葉集以前にも、使われていたようですが、万葉集でこの表記がよく用いられていたため万葉仮名といわれます。
万葉集は「歌」ですから、音が大切だったと考えられます。
漢文に翻訳してしまったら雰囲気が伝わらなくなってしまいます。日本語の音を記したかったのだと思います。
万葉仮名の例
万葉仮名の例としては以下のものがあります。
スサノオノミコトが詠んだとされる和歌です。
夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐 都麻碁微爾 夜幣賀岐都久流 曾能夜幣賀岐袁(古事記全文検索より抜粋)
ここの読み下し文は、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」です。
- 夜久毛多都 → 八雲立つ
- 伊豆毛夜幣賀岐 → 出雲八重垣
- 都麻碁微爾 → 妻ごみに
- 夜幣賀岐都久流 → 八重垣つくる
- 曾能夜幣賀岐袁 → その八重垣を
となっているのがわかりますね!
万葉仮名の影響・平仮名と片仮名
平仮名も片仮名も、平安時代に万葉仮名をもとに作られました。
平仮名は、万葉仮名の草書体をくずして作ったものです。
(wikipediaより引用)
片仮名は、以下のように、万葉仮名の一部をつかって作られました。
(wikipediaより引用)
なお、平仮名と片仮名では、「あ」を表す音は、それぞれ「あ」と「ア」のみです。
万葉仮名は「あ」を表す音は、「阿」「安」「吾」「足」など複数ありました。
まとめ
まとめると、以下の2点になります。
- 万葉仮名とは、日本語の音を表記するために使われていた文字のこと
- 万葉仮名を基に、平仮名・片仮名が生まれた。
何かのお役に立てれば幸いです。