第二言語学習理論と教授法①:行動主義

参考本

第二言語習得の入門クラスを教えることになり、以下の本を読んでいます。

  • Lightbown, Patsy M., and Nina Spada. How Languages are Learned 4th edition. Oxford University Press, 2013.

入門書の紹介でも書きましたが、この本は外国語教授法などのクラスでよく教科書として使われています。

 

和訳版もあります。

  • Lightbown, Patsy M., et al. 『言語はどのように学ばれるか』 白井恭弘 , 岡田雅子訳 , 東京:岩波書店

 

今回はこの第4章「第二言語学習に関する説明(explaining second language learning)」のところを読みました。

この章では、第二言語の教授法やその背景にある理論を紹介しています。以下の記載はおもにp. 103-104を参考にしています(多少加筆しています)。

まず紹介しているのは、行動主義(behaviorism)です。

行動主義とは?

行動主義は1940年から1970年にかけてアメリカで影響力のあった理論です。言語学習とは、聞いたものを模倣し、反復練習する中で、正しい習慣を形成していくことだと考えています。

オーディオリンガル・メソッド

オーディオリンガルメソッドは、行動主義に基づいて発展した教育法で、第二言語での習慣形成をすることを目的としています。

クラスでは、第二言語の音声を聞き、それを模倣し、文型を反復練習します。そうやって練習を積み重ねることにより、第二言語を自分のものにできるようになるというものです。

行動主義の批判

行動主義の批判としては、認知面にあまり重きをおいていなかったことが挙げられます。

第一言語・第二言語のどちらもそうなのですが、子どもや学習者の間違いを分析すると、決して聞いたことのない文法を作ったりしていることがあります。

例えば、子どもの間違いでは、「farmer」が「farm」になる、「swimmer」が「swim」になる、「actor」が「act」になるなどから類推して、「doctor」が「doc」になると思い、「doc」という動詞を使った子どももいたようです。(p.18)

行動主義は、何かを模倣し、練習する中で、習慣を形成していくという立場なので、耳にしたもの以上のことはでてこないはずです。なのに、耳にするはずのない間違い(「doc」など)を子どもも学習者もする。ということは、行動主義は言語習得を説明するには不十分なのではと言われるようになります。

オーディオリンガルメソッドの批判

オーディオリンガルメソッドについては、以下のような批判があります(これについては上記の本では言及していません。)

  • 文法の正確性に重きを置きすぎていてコンテクストがない(例えば、「I am a student」という文章は作れても、いつ使うかわからないなど)
  • 学習者の情緒面を無視している(警察犬の訓練のように反復練習をするのは結構つらいなど)
その他の記事

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